🌊 海の未来 🌊 ~新編集版~
「私じゃ、ダメかな?」

 家に帰って差波木社長とのことを母に話した途端、驚きの発言が飛び出した。

「差波木さんのお店の飲食コーナー、私ができないかな?」

 突然のことに唖然として母を見た。

「そんな目で見ないでよ」

「だって……」

「驚くのはわかるけど」

「え~、本気なの?」

「冗談でこんなこと言えないでしょう」

 絶句した。
 本当にお店を持ちたいと考えているなんて思ってもみなかった。
 今の今まで母の言うことを真に受けていなかったのだ。
 食楽喜楽で楽しそうに働いているから、それで満足していると思っていた。
 しかし、そうではなかった。母
 は本気で自分の店を持つことを考えていた。
 
「差波木さんに訊いてくれない?」

 母の表情は真剣そのものだった。
 頷きを返すしかなかった。
 
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