🌊 海の未来 🌊 ~新編集版~
 閉店の時間になった。
 最後の客を見送って入口のポールにチェーンを張り、閉店と印刷された看板を立てると、安堵感と充実感が心の中に広がった。
 疲れはまったく感じなかった。
 しかし、仕事が終わったわけではなかった。
 片づけと翌日の仕込みがあるのだ。
 それでも、それが楽しかった。
 明日も笑顔を提供できると思うと、心が弾んだ。
 ひとりでに笑みが浮かんできて、鼻歌交じりで作業を続けた。
 
 店の灯りを落としたのは18時5分だった。
 しかしまだすることが残っていた。
 明日のメニューの告知だ。
 母味優は閉店するが〈さかなや恵比寿さん〉の営業は21時まで続くので、その間に来店した客に目を止めてもらいたいと考えたのだ。
 
 看板の下に告知の紙をテープで留めてそれを見ていると、明日も頑張ろうという気になった。
『明日の旬魚は〈鯛〉の予定です。ご期鯛下さい!』というメニュー告知が優美にエールを送っていた。
 
 
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