🌊 海の未来 🌊 ~新編集版~
「目利さんが賛同してくれてね」
食楽喜楽で海野とディナーを共にしていた。
「凄いわね。まさかあの目利さんと提携できるなんて」
「だよね。思い切って当たってよかったよ」
「でも、どうやって口説いたの?」
海野はニヤッと笑った。
「持続可能な幸福循環と言った途端、彼が前のめりになってきたんだ」
その時の反応を詳しく説明してくれたあと、「琴線に触れたんだよ。君が発したキーワードが」と語尾に力を入れた。
それはとても嬉しいことであり、海利社長や嘉門部長や海野だけでなく賛同者が社外にも広がっていることは望外の喜びでもあった。
しかし、同時に責任も感じていた。
今後どんどん輪が広がっていけば失敗は許されなくなるし、もし実現できなければ懐疑的に見ている人たちを勢いづかせることになる。
そんなことになったら〈持続可能な幸福循環〉という言葉は藻屑と消えてしまうかもしれない。
そうなれば魚も海も未来を閉ざされてしまう。
それは人類の未来も閉ざされることと同じになる。
だから発案者としての責任は重い。
そう考えると、ナイフとフォークを動かせなくなった。
「どうしたの? 顔色が良くないけど」
表情の変化に気づいたのか、海野が心配そうに覗き込んできた。
「うん、責任を感じてきた。言い出しっぺで終わることはできないから……」
そのあとの言葉を飲み込んだ。
一人で抱え込むにはあまりにも大きい挑戦だからだ。
しかし海野は「大丈夫だよ」と明るい声を返してきた。
「僕だけでなく社長も部長も強力に支援してくれているし、賛同者も着実に増えている。それに、海の向こうでサルマン社長も応援してくれている。だからこの流れが止まったり失速することはない。勢いを増すのは間違いないんだ。心配いらないよ」
それでも頷くことはできなかったが、どんよりとした胃の重さは軽くなったような気がした。
それに、目の前で一生懸命勇気づけてくれている海野の気持ちが嬉しかった。
「ありがとう」
呟くようにしか言えなかったが、彼の耳には届いたようで、笑みと共に「もう一度乾杯しようよ」とグラスを上げた。
「持続可能な幸福循環に乾杯!」
海野の声が心の中で弾けた。
食楽喜楽で海野とディナーを共にしていた。
「凄いわね。まさかあの目利さんと提携できるなんて」
「だよね。思い切って当たってよかったよ」
「でも、どうやって口説いたの?」
海野はニヤッと笑った。
「持続可能な幸福循環と言った途端、彼が前のめりになってきたんだ」
その時の反応を詳しく説明してくれたあと、「琴線に触れたんだよ。君が発したキーワードが」と語尾に力を入れた。
それはとても嬉しいことであり、海利社長や嘉門部長や海野だけでなく賛同者が社外にも広がっていることは望外の喜びでもあった。
しかし、同時に責任も感じていた。
今後どんどん輪が広がっていけば失敗は許されなくなるし、もし実現できなければ懐疑的に見ている人たちを勢いづかせることになる。
そんなことになったら〈持続可能な幸福循環〉という言葉は藻屑と消えてしまうかもしれない。
そうなれば魚も海も未来を閉ざされてしまう。
それは人類の未来も閉ざされることと同じになる。
だから発案者としての責任は重い。
そう考えると、ナイフとフォークを動かせなくなった。
「どうしたの? 顔色が良くないけど」
表情の変化に気づいたのか、海野が心配そうに覗き込んできた。
「うん、責任を感じてきた。言い出しっぺで終わることはできないから……」
そのあとの言葉を飲み込んだ。
一人で抱え込むにはあまりにも大きい挑戦だからだ。
しかし海野は「大丈夫だよ」と明るい声を返してきた。
「僕だけでなく社長も部長も強力に支援してくれているし、賛同者も着実に増えている。それに、海の向こうでサルマン社長も応援してくれている。だからこの流れが止まったり失速することはない。勢いを増すのは間違いないんだ。心配いらないよ」
それでも頷くことはできなかったが、どんよりとした胃の重さは軽くなったような気がした。
それに、目の前で一生懸命勇気づけてくれている海野の気持ちが嬉しかった。
「ありがとう」
呟くようにしか言えなかったが、彼の耳には届いたようで、笑みと共に「もう一度乾杯しようよ」とグラスを上げた。
「持続可能な幸福循環に乾杯!」
海野の声が心の中で弾けた。