恋色レシピ
「あ…ちょっと用事があって……」
「ふーん?」
「鈍いなぁ。剛志くん」
そう言うのは杏奈さん。
杏奈さんにはバレバレ?
「え〜俺ぇ!?」
あたしは、なんとか場所を聞いて。
「ありがと、お兄ちゃん」
「あ、咲智ちゃん!」
呼び止めるのは杏奈さん。
「はい?」
「頑張ってね」
こそっと耳元でそう言ってくれて。
ハイって、あたしの掌に乗せられたのは
四つ葉のクローバーのストラップ。
「え……」
「これね、あたしの恋を叶えてくれたんだ」
杏奈さんの?て事は…お兄ちゃんとの?
「あたしはもう叶ったから、咲智ちゃんにあげる。
パワーのおすそ分け」
そう言って微笑む杏奈さんは、すごく幸せそうで。
本当にパワーをもらった気がした。