恋色レシピ
駄目だよ。
泣いたら本当に終わっちゃう。
だけど…終わらせなきゃなんない………?
さっきから正反対の事ばかり考えてしまう。
「咲智―?帰ってんのか??」
お兄ちゃん…
「…あ、うん!
お兄ちゃん達何か飲む?」
あたしは急いで涙を拭う。
「あー、いいよ。
お前、塾で疲れてんだろ」
お兄ちゃんてば…なんか優しいよ……?
「咲智どした…?」
やだ。気付かれちゃう?
「あー!咲智じゃん」
「武田さん、こんばんは」
なんか、お兄ちゃんの友達に会うのも久しぶり…
「な、咲智。ちょっといい…?」
え??
「…ノブ?」
「ちょっとだけ。」
えっ、何…!?
あたしは武田さんに手を掴まれた。
バタン!!
―――その時、突然ドアが開いた。