恋色レシピ
て言うか、
西野さんとこんなふうに話したの初めてかも。
いつも、あたしが見てるだけだったから。
しかも、“さっちゃん”って呼ばれた!!
あたしの名前、知ってるって事だよね!?
些細な事が本当に嬉しい。
「さっちゃんはさ…」
「あ、咲智でいいですよー
お兄ちゃんの友達みんな呼び捨てだし」
ドキドキしながら言ってみた。
本当は、あたしが西野さんにそう呼んでほしい……なんて思ったり。
「そう?
…じゃあ、咲智も西野さんって言うのナシな?」
えええっ!?
「えっと…誠(マコト)さん……?」
なんだか恥ずかしい…
「さんもナシ」
「じゃあ…誠くん…?」
慣れない呼び方がくすぐったい。
たったそれだけで、少し距離が縮んだ気がした。