恋色レシピ


て言うか、


西野さんとこんなふうに話したの初めてかも。


いつも、あたしが見てるだけだったから。


しかも、“さっちゃん”って呼ばれた!!


あたしの名前、知ってるって事だよね!?


些細な事が本当に嬉しい。


「さっちゃんはさ…」


「あ、咲智でいいですよー
お兄ちゃんの友達みんな呼び捨てだし」


ドキドキしながら言ってみた。

本当は、あたしが西野さんにそう呼んでほしい……なんて思ったり。


「そう?
…じゃあ、咲智も西野さんって言うのナシな?」


えええっ!?


「えっと…誠(マコト)さん……?」

なんだか恥ずかしい…


「さんもナシ」


「じゃあ…誠くん…?」



慣れない呼び方がくすぐったい。


たったそれだけで、少し距離が縮んだ気がした。










< 9 / 97 >

この作品をシェア

pagetop