愛しい魔王様泣かないで!私はここにいます

第1章 魔王様と私-17*

「ん……はぁ、ん」
 胸の膨らみを愛撫するのは、彼の舌。時々突起を口に含んでは、転がす。露わになった体。かろうじて腰の辺りを隠している服も、かえって恥じらいの材料となる。
「ん、ふ……」
 お腹を撫でていた手が臀部へと移り、さわさわと触れてくる。もっと、とねだるようにしがみついてしまう。クッと喉の奥で笑った彼は、自らも生まれたままの姿になりながら、私に執着の痕をつけていく。ピリッと痛みを感じるたびに、所有印が増える。まだ触れられてもいないのに濡れそぼった秘所を、指が掠めた。
「あっ……」
 待ち焦がれた感覚。すでに膨らんでいる敏感なところをさすり、焦らすように少しずつ侵入してくる。腰をくねらせると、「あまり煽るな」とたしなめられた。
「だって……あんっ……」
 彼の指を締め付け、体を震わせる。心から妻になると決めたからなのか、体が彼を激しく求めている。指が引き抜かれ、もっと大きなものがあてがわれた。
「あ、あ――」
 ひとつになる悦び。欠けていたものが満たされる充足感。溢れ来る幸福感。こみ上げる愛情。ああ、魔王様……私、あなたのことを――。
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