愛しい魔王様泣かないで!私はここにいます
第2章 ここにいます-1
第2章 ここにいます
魔王アンジェは、妻の亡骸を氷の棺に納めた。千年の時を経ても若く美しく、聡明で勇敢だった娘。迷宮の扉は再び閉ざされ、赤紫色の石もまた、棺に納められた。
彼は妻の帰りを待ち続けた。気の遠くなるほどの年月だった。時間が、こんなに長く感じられたことはなかった。やがて彼は、妻を恋しく想うあまり、病の床についた。
夜となく昼となく、見る夢は愛しい妻のことばかり。魔界の者たちは王のため、奥方の棺の前で代わる代わる祈りを捧げた。どうか一日も早いお戻りを、と。このような状況でも王の力は魔界の隅々に行き渡っていたが、徐々に綻びが見え始めた。リアスを始めとする騎士たちが制御してはいるが、世界の秩序が崩れるのは止めようがなく、人の世にも少なからず影響が及んだ。
ある日のこと。棺が中から光り輝き、初めは七色に、次いで赤紫色に変わっていった。光に包まれた棺は、眩しくて誰も中を見ることができなくなった。あるいは、中は空になっていたのかもしれない。
魔王は夢の中で、どこかの扉がガチャンと開く音を聞いた。
魔王アンジェは、妻の亡骸を氷の棺に納めた。千年の時を経ても若く美しく、聡明で勇敢だった娘。迷宮の扉は再び閉ざされ、赤紫色の石もまた、棺に納められた。
彼は妻の帰りを待ち続けた。気の遠くなるほどの年月だった。時間が、こんなに長く感じられたことはなかった。やがて彼は、妻を恋しく想うあまり、病の床についた。
夜となく昼となく、見る夢は愛しい妻のことばかり。魔界の者たちは王のため、奥方の棺の前で代わる代わる祈りを捧げた。どうか一日も早いお戻りを、と。このような状況でも王の力は魔界の隅々に行き渡っていたが、徐々に綻びが見え始めた。リアスを始めとする騎士たちが制御してはいるが、世界の秩序が崩れるのは止めようがなく、人の世にも少なからず影響が及んだ。
ある日のこと。棺が中から光り輝き、初めは七色に、次いで赤紫色に変わっていった。光に包まれた棺は、眩しくて誰も中を見ることができなくなった。あるいは、中は空になっていたのかもしれない。
魔王は夢の中で、どこかの扉がガチャンと開く音を聞いた。