愛しい魔王様泣かないで!私はここにいます
第2章 ここにいます-2
それから三年の月日が流れた。
魔王は、目を覚ましていることが少なくなった。彼はふと、自分の鼻を誰かが摘まんでいることに気付いた。
「おきないなぁ……」
かわいらしい声がする。長く動かしていなかった腕をどうにか持ち上げると、小さな体が自分の上に乗っているのが分かった。
「ふふっ。まおうさま、だいすき」
ぺったりとお腹の上に体を預け、足をバタバタさせて、何かの歌を歌っている。
(あの時と同じだ)
彼は、人間のなりをして彼の里を訪ねたことがあった。生贄の風習をやめさせたい、こちらはそんなことは望んでいないのだと、伝え、信じてもらいたかった。そのためのうまい策を思いつかず、草の上に寝転んで、いつの間にか眠っていた。あの時、妻となるただ一人の女と出会ったのだ。
魔王は、目を覚ましていることが少なくなった。彼はふと、自分の鼻を誰かが摘まんでいることに気付いた。
「おきないなぁ……」
かわいらしい声がする。長く動かしていなかった腕をどうにか持ち上げると、小さな体が自分の上に乗っているのが分かった。
「ふふっ。まおうさま、だいすき」
ぺったりとお腹の上に体を預け、足をバタバタさせて、何かの歌を歌っている。
(あの時と同じだ)
彼は、人間のなりをして彼の里を訪ねたことがあった。生贄の風習をやめさせたい、こちらはそんなことは望んでいないのだと、伝え、信じてもらいたかった。そのためのうまい策を思いつかず、草の上に寝転んで、いつの間にか眠っていた。あの時、妻となるただ一人の女と出会ったのだ。