愛しい魔王様泣かないで!私はここにいます

第2章 ここにいます-8

(ザイン……すまない。ありがとう)
 存在する、という名を持つ彼が全力を注いでくれているおかげで、魔界の安定は思ったより早く実現した。離れてはいても、力を合わせて世界を支えている。
「アンジェ様」
「うん?」
 その名を呼ぶのは、今はザインとリアスの兄弟、それにジーナのみ。柔らかな金髪を撫でる。
「どうか一日も早く、お元気になってください。そして……私が大人になったら」
 また、名実ともに、妻に。
「ああ……あと十五年というところか」
「はい……すぐです」
「それまでに、愛想を尽かされないようにしなくてはな」
「それは絶対、大丈夫です」
 頬に触れた唇から、力が注ぎ込まれる。この分なら、明日には起き上がれそうだ。

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