「レモン½で食べよ!」

 私の爪は、あんなに整った形はしていないけれど、それでも可愛く見えるようにと、毎晩バリエーションを変えて、様々な色やラインストーンを使って、飾り立てている。

 今日のは、力作だったんだけどな、気に入ってくれそうだと思ったんだけどな。

 戸田くんが私に、何か自分から話題を振るきっかけになりそうな、そんなデザインを、と。
 爪に装飾をほどこす前には、いつしかそんなことばかり考えるようになっていた。

 私は、仲良くなりたいだけなんだけどな。
 どうして避けられてしまうんだろう。
 戸田くんは、一人でいることが多いけど、人と接することが好きじゃないのかな。

 そうだったならば、押しかけて、アレコレ話しかける私は、ただ迷惑なだけの存在だよね。

 
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