「レモン½で食べよ!」

香歩のこと


 私の見た目?
 今や絶滅したかと思われているかもしれないけれど、いるの、ギャルは。
 だって好きなんだもん。

 明るい金髪の長い髪も、ウェスト部分をくるくると巻き上げて短くしたチェック柄のプリーツスカートも、ひと昔、ううん、ふた昔前に流行って、再び巡って来た流行りらしいルーズソックスも。
 これも、好き好き。
 ゴテゴテにラインストーンで飾り建てたスマホカバー!

 可愛い、って自分が感じた姿でいたい。
 可愛い、って自分が感じた物に囲まれていたい。
 可愛い、って自分が感じた世界は、元気がない時に私のことを、いつだって励ましてくれる。

 だから、周りの声はそんなに気にはしていない。

 もちろん自分の「可愛い」も最高だけど、私は他人の「可愛い」を否定したり、バカにしたりなんて絶対にしないの。
 人それぞれ感性も価値観も様々で、好きなものが違っているのは当然だと思うから。

 それに私だって他のジャンルの、そうだな、量産系女子とか地雷系女子とか、ガーリーだったりロリータだったり、お姉さんっぽかったりパンクっぽかったり、ギャルっぽいデザイン以外のものにも「可愛い」を感じることだってある。

 みんな「自分の思う可愛い」を纏って、元気を出して毎日を送っているんだと思う。
 だって、テンション上がるでしょ。
 気分転換になるし、落ち込みそうな時は気を取り直すきっかけにもなる。

 だから私は、ギャルになって良かったって思うよ!

 ― だって私、中学校の時、たった一つの、大粒のビーズのブレスレットに救われて来たんだよ。



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