「レモン½で食べよ!」
そんな私が通っているこの高校は、都会の田舎にあって、生徒手帳に箇条書きで載っている校則だけじゃなくて細かい決まりがいくつもあって、けっこう厳しい方ではあると思う。
だけど、髪の色や化粧、スカートの丈の長さや靴下に関しての記述はなかった。
イマドキっぽく、子供の個性を抑圧しないで見守りましょう、みたいなスローガンを掲げているのをネットで見かけて、ここで高校生活を送ろうと、中学生だった私は決めたのだ。
念願叶って高校でギャルになった私に話しかけてくれる同級生は、やっぱりはじめは1人もいなかった。
そのかわり、私と同じように派手な見た目を好む2人の先輩が声をかけてくれて、仲良くしてくれるようになった。
キヨミ先輩とモエ先輩、2人とも髪色は私と同じで派手だけど、もっと大人っぽい顔立ちをしていて、化粧も上手。
先輩たちがクラスにやって来るようになったら、クラスの女の子が、自分にも化粧を教えて欲しい、なんて言って寄って来てくれることが増えた。
その中で特別に仲が良くなった、と感じることが出来た2人の女の子と、私は良く一緒に過ごすようになる。