「レモン½で食べよ!」
戸田雪夫
戸田くんは、フルネームを戸田雪夫と言う。
私が毎日眠る前にベッドで読んでいるweb小説があるのだけれど、昨夜は何気なく作者のプロフィール欄をタップしてみた。
そこを、ジーっと1時間くらい眺めていたら、夜中になってしまっていた。
うーん、「雪田とおこ」、か…。
ずっと、女性が書いている作品だと思って読んでいたのだけれど、そもそもどうしてプロフィール欄を確認してみようと思ったのか、そのきっかけと言うのが…。
その小説と言うのは、所謂ファンタジー小説だ。
はじめてその作品をネットの海の中から見つけ出した日のことを、いまだに詳しく覚えている。
私がまだ中学生の頃、たまたま学校で悲しいことがあって、ひどく落ち込んでいたのだ。
ああ、違う世界に、心だけでも逃げてしまいたい、そんな風に考えていたまさにそんな瞬間。
涙も出ないくらいだから、文字で心が動くだなんて到底思えやしなかったけれど、自室にたどり着くと制服から着替えもせずに、とりあえずスマホで登録しているweb小説サイトにアクセスをした。