【ピュアBL】本当は、だいじょばない短編ver.
遥斗と出会ったのは去年、高校一年生になったばかりの四月だった。今過ごしているこの男子寮で、遥斗と同じ部屋になった。はっきりと出会った時の光景は覚えている。
寮での生活初日。部屋に着くと、まだ遥斗はいなかった。とりあえず荷物を適当に置き、窓を開けて換気する。この辺の地域はまだ桜は咲いてなく、雪が完全に解けそうな暖かい空気で春を感じていた。窓からふわり春の空気が入ってくる。
部屋の全体を確認する。そんなに広くはない。白い壁、薄茶色の木目調の床。白いドアと大きな窓の真ん中で繋いだ線を中心に、シンメトリーに置かれている茶色のベットや机、そして棚。
初めての寮生活。どんなやつと同じ部屋になるんだろうと、窓の前であぐらをかいて座り考えていると、遥斗がのそのそと部屋に入ってきた。遥斗はふわっとした空気を纏っていて、まるでもうひとつの春の空気が入ってきたようだった。
ふわふわした小動物みたいで可愛いな――。
それが遥斗の第一印象だった。デカくて不良なタイプの自分とは正反対。遥斗は「白川遥斗です。よろしくお願いします」と、はにかんだ笑顔で言った。
「うん、俺は菅田莉久。よろしく」
これが初めてしたふたりの会話だ。
俺は多分、この時かなり無愛想だったと思う。
これから一緒に過ごすといっても、特に気を遣う必要なんてないと思ったから。
部屋はふたりでいる時でも静かだった。遥斗はいつも俺に背を向けて机に向かい勉強をしているか、本を読んでいた。更にクラスも離れていて、遥斗は特進クラス、俺は普通クラス。同じ学年だけど寮以外では会うことはなく、特に共通点もなかったから本当に会話はなかった。
***
寮での生活初日。部屋に着くと、まだ遥斗はいなかった。とりあえず荷物を適当に置き、窓を開けて換気する。この辺の地域はまだ桜は咲いてなく、雪が完全に解けそうな暖かい空気で春を感じていた。窓からふわり春の空気が入ってくる。
部屋の全体を確認する。そんなに広くはない。白い壁、薄茶色の木目調の床。白いドアと大きな窓の真ん中で繋いだ線を中心に、シンメトリーに置かれている茶色のベットや机、そして棚。
初めての寮生活。どんなやつと同じ部屋になるんだろうと、窓の前であぐらをかいて座り考えていると、遥斗がのそのそと部屋に入ってきた。遥斗はふわっとした空気を纏っていて、まるでもうひとつの春の空気が入ってきたようだった。
ふわふわした小動物みたいで可愛いな――。
それが遥斗の第一印象だった。デカくて不良なタイプの自分とは正反対。遥斗は「白川遥斗です。よろしくお願いします」と、はにかんだ笑顔で言った。
「うん、俺は菅田莉久。よろしく」
これが初めてしたふたりの会話だ。
俺は多分、この時かなり無愛想だったと思う。
これから一緒に過ごすといっても、特に気を遣う必要なんてないと思ったから。
部屋はふたりでいる時でも静かだった。遥斗はいつも俺に背を向けて机に向かい勉強をしているか、本を読んでいた。更にクラスも離れていて、遥斗は特進クラス、俺は普通クラス。同じ学年だけど寮以外では会うことはなく、特に共通点もなかったから本当に会話はなかった。
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