魔導具店『辺境伯の御用達』 ーThe margrave's purveyorー(ザ・マーグレーヴス・パーベヤー)
いずれ、このハーメルシーズ領の魔導具師としてお店を開業できる日を夢見つつ、そんな日々を続けている内に、突然朗報が舞い込んできた。
「サンジュさん、お久しぶりです」
「フィトロさん……!」
女使用人の館で、休日も魔導具の修繕作業にかかっていた私のもとへ、青髪の貴公子フィトロさんが尋ねてきた。後ろにはリラフェンの姿もあり、私はなんの用事かと首を傾げる。
「ええと……お会いできたのは嬉しいですが、どういった御用事でしょう? それにリラフェン、あなたは今日お仕事じゃありませんでしたっけ?」
「ハーメルシーズ伯のお許しをもらって、今日は特別に外させてもらったの。それより、あんたにいい知らせがあるのよ。だからほら、ぼさっとしてないで付いて来て!」
「とりあえず、ファルメルの街へ移動しましょう。きっとサンジュさんも喜ばれることと思いますよ」
特に断る理由もなく、尚のことわけが分からないまま、私はランツ兄妹に連れ出されて館を後にする。そうして馬車の座席でふたりに挟まれ、楽しくおしゃべりをしながらファルメルの街へと向かったのだった。
「サンジュさん、お久しぶりです」
「フィトロさん……!」
女使用人の館で、休日も魔導具の修繕作業にかかっていた私のもとへ、青髪の貴公子フィトロさんが尋ねてきた。後ろにはリラフェンの姿もあり、私はなんの用事かと首を傾げる。
「ええと……お会いできたのは嬉しいですが、どういった御用事でしょう? それにリラフェン、あなたは今日お仕事じゃありませんでしたっけ?」
「ハーメルシーズ伯のお許しをもらって、今日は特別に外させてもらったの。それより、あんたにいい知らせがあるのよ。だからほら、ぼさっとしてないで付いて来て!」
「とりあえず、ファルメルの街へ移動しましょう。きっとサンジュさんも喜ばれることと思いますよ」
特に断る理由もなく、尚のことわけが分からないまま、私はランツ兄妹に連れ出されて館を後にする。そうして馬車の座席でふたりに挟まれ、楽しくおしゃべりをしながらファルメルの街へと向かったのだった。