魔導具店『辺境伯の御用達』 ーThe margrave's purveyorー(ザ・マーグレーヴス・パーベヤー)
「ええっ、どうして!?」
「まあ、理由は想像できますけど……」
「あれよねぇ……」

 困り果てた私に、仲のいい義理の兄妹は自分たちだけで納得すると、声を揃えて言う。

「「照れ隠し、だね(よね)」」

 語尾はそれぞれ違ったが、重なった答えは大変あの方らしくない、子供っぽい理由で……。

「…………はぁぁぁぁぁ――」

 その意外さに私はなんと返したものか。
 呆れた口を丸く開くと、こそこそ姿を晦まそうとする領主様の情けない背中を思い浮かべ、大きく息を吐き出したのだった……。
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