魔導具店『辺境伯の御用達』 ーThe margrave's purveyorー(ザ・マーグレーヴス・パーベヤー)
しかし彼女は感傷を振り切ると、明るい顔で笑った。
「よし! いつまでも湿っぽくしてたって仕方ないし、その内皆も様子を見に来てくれるって言ってたしね! 気持ちを切り替えてこの家を片付けちゃいましょ!」
「うん、そうね」
格安で譲ってもらったはいいが、残念なことに室内外の手入れなどはされていない。周りには草が生え放題だし、家の中のも比較的綺麗とはいえ、ところどころ埃が溜まったりして、とても誰かを呼んだり荷物を拡げたりできる状態じゃない。
「とりあえず、さっさと片付けて眠れる場所を確保しないとね。後は街に家具を見に行ったりもしなくちゃならないし、それから……」
「すいませーん」
玄関の外から元気そうな声が響いて来て、私とリラフェンは表に出る。
するとそこには荷車をから下ろした手荷物を抱えているひとりの少女がいる。
「こんにちは。爺ちゃんに頼まれてここに荷物を届けに来た者なんですけど~」
茶色の髪を三角巾の中に押し込んだ作業服姿の少女がそう言い、私ははてと首をひねった。
「よし! いつまでも湿っぽくしてたって仕方ないし、その内皆も様子を見に来てくれるって言ってたしね! 気持ちを切り替えてこの家を片付けちゃいましょ!」
「うん、そうね」
格安で譲ってもらったはいいが、残念なことに室内外の手入れなどはされていない。周りには草が生え放題だし、家の中のも比較的綺麗とはいえ、ところどころ埃が溜まったりして、とても誰かを呼んだり荷物を拡げたりできる状態じゃない。
「とりあえず、さっさと片付けて眠れる場所を確保しないとね。後は街に家具を見に行ったりもしなくちゃならないし、それから……」
「すいませーん」
玄関の外から元気そうな声が響いて来て、私とリラフェンは表に出る。
するとそこには荷車をから下ろした手荷物を抱えているひとりの少女がいる。
「こんにちは。爺ちゃんに頼まれてここに荷物を届けに来た者なんですけど~」
茶色の髪を三角巾の中に押し込んだ作業服姿の少女がそう言い、私ははてと首をひねった。