魔導具店『辺境伯の御用達』 ーThe margrave's purveyorー(ザ・マーグレーヴス・パーベヤー)
ウィリーさんは私の足元に屈みこむと、その中に自分の手のひらを突っ込んだ。そして両手で持ち上げてみせる……これから多くの命を育む糧となる柔らかい、“茶色”の土を。
「ほぉ……こいつぁいい状態だ。ほどよく空気も含まれとる。邪魔な石ころやらを取り除けば、すぐにでも種まきが始められそうだ。あんた、ちょっとそれを貸してくれるか!」
「は、はいどうぞ!」
その剣幕に、急いで注意事項を伝え、私は彼に魔導具を手渡した。
「うわははははははっ! すごいじゃないか! こいつぁ仕事が捗る、捗るぞぉぉぉぉっ!」
ウィリーさんはそれを新しい玩具を与えられた子供のように振り回し、瞬く間に目に映る範囲の農地を耕し切ってしまう。それを見た周りの農民たちも口々に自分にも試させて欲しいと言い、どんどん私の周りに詰め寄ってくる。
それを制しつつ、ウィリーさんががしっと私の手を掴んで頼み込んだ。
「嬢ちゃん、こいつを譲ってくれ! 金は払う! いくらでも……とは言えねぇが、足りねえなら、家で飼ってる馬や牛を持って行っても構わねぇ!」
「い、いえいえ……。それは遠慮します」
「ほぉ……こいつぁいい状態だ。ほどよく空気も含まれとる。邪魔な石ころやらを取り除けば、すぐにでも種まきが始められそうだ。あんた、ちょっとそれを貸してくれるか!」
「は、はいどうぞ!」
その剣幕に、急いで注意事項を伝え、私は彼に魔導具を手渡した。
「うわははははははっ! すごいじゃないか! こいつぁ仕事が捗る、捗るぞぉぉぉぉっ!」
ウィリーさんはそれを新しい玩具を与えられた子供のように振り回し、瞬く間に目に映る範囲の農地を耕し切ってしまう。それを見た周りの農民たちも口々に自分にも試させて欲しいと言い、どんどん私の周りに詰め寄ってくる。
それを制しつつ、ウィリーさんががしっと私の手を掴んで頼み込んだ。
「嬢ちゃん、こいつを譲ってくれ! 金は払う! いくらでも……とは言えねぇが、足りねえなら、家で飼ってる馬や牛を持って行っても構わねぇ!」
「い、いえいえ……。それは遠慮します」