魔導具店『辺境伯の御用達』 ーThe margrave's purveyorー(ザ・マーグレーヴス・パーベヤー)
彼らは私を最後に嘲笑うと、廊下に置き去りにして背中を見せた。
私はしばらく喉を震わせながら床を見つめていたが、やがて立ち上がると、ぼんやりとした気持ちで自分の部屋に戻り、中を見つめた。
窓もない、まるで牢獄のような、ベッドと作業台や道具だけの部屋。私はそこから使い慣れた道具鞄を手に取ると、中に作業台に散らばっていた工具類を詰め込んで体に掛け、密かに扉を閉める。
ただただ厭わしかった。こんな家に生まれた自分が。
もうなにも考えたくない――生まれつき私を縛るこの軛から放たれるにはどうすればいいか、それだけが頭の中を埋め尽くしていて。
私はその場所から誰にも見られぬよう、そっと屋敷を後にした……。
私はしばらく喉を震わせながら床を見つめていたが、やがて立ち上がると、ぼんやりとした気持ちで自分の部屋に戻り、中を見つめた。
窓もない、まるで牢獄のような、ベッドと作業台や道具だけの部屋。私はそこから使い慣れた道具鞄を手に取ると、中に作業台に散らばっていた工具類を詰め込んで体に掛け、密かに扉を閉める。
ただただ厭わしかった。こんな家に生まれた自分が。
もうなにも考えたくない――生まれつき私を縛るこの軛から放たれるにはどうすればいいか、それだけが頭の中を埋め尽くしていて。
私はその場所から誰にも見られぬよう、そっと屋敷を後にした……。