魔導具店『辺境伯の御用達』 ーThe margrave's purveyorー(ザ・マーグレーヴス・パーベヤー)
だが、それに対する彼の返答は先程と同様のやんわりとした拒絶だった。
「先ほども言った通り、今はまだ言えません。すまないが、それじゃ……」
妹を案じるように視線をあげた後、フィトロさんは私に一礼して店を去っていった。その後ろ姿を見ながら、私の胸にはどうしようもない歯痒さが渦を巻いていた。
今、大切な人同士の間に深い溝が穿たれようとしているかも知れないのに……私にできることは、ただ遠巻きに見守っているしかないなんて――。
「先ほども言った通り、今はまだ言えません。すまないが、それじゃ……」
妹を案じるように視線をあげた後、フィトロさんは私に一礼して店を去っていった。その後ろ姿を見ながら、私の胸にはどうしようもない歯痒さが渦を巻いていた。
今、大切な人同士の間に深い溝が穿たれようとしているかも知れないのに……私にできることは、ただ遠巻きに見守っているしかないなんて――。