魔導具店『辺境伯の御用達』 ーThe margrave's purveyorー(ザ・マーグレーヴス・パーベヤー)
 彼女は結局はやっぱり、自分の力で問題を解決した。ちゃんと、フィトロさんと向かい合って話し合い、ふたりで自分たちのゆく道を決めたのだ……。



 ファルメルの街まで送ってもらった後すぐ、私は店に戻りリラフェンの部屋に様子を見に行った。そうすると、ベッドの上で体を起こしていた彼女と目が合う。

「……誰かに話を聞きに行ってたの?」

 それなりに長い時間不在にしていたからか察していたらしい。リラフェンから躊躇いがちにそう尋ねられ、私は素直に頷いてベッドサイドの椅子に座る。

「うん……ごめんね。どうしても、知りたかったの。リラフェンがどんな気持ちで苦しんでいるのか」

 私はピッチャーから水をグラスに汲むと、リラフェンに差し出す。
 朝に置いていった食事はあまり減ってはいない。薬を飲ませて額に手を当てると、まだ熱はあるが大分容態は落ち着いてきたようだ。
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