魔導具店『辺境伯の御用達』 ーThe margrave's purveyorー(ザ・マーグレーヴス・パーベヤー)
フィトロさんには少々申し訳ないけれど、お言葉に甘え私たちは笑顔を交わすと、夢のように贅沢な料理を思う存分頬張った。
その途中に――。
「おー? おめぇらも来てたのか」
通りかかったひとりの男性が、後ろから私たちに声を掛けてきた。誰かと思えば、お城で働いている時にあれこれとお世話になった倉庫番の上級使用人、ドンホリさんではないか。
彼は後ろにひとりの上品な美人を連れ、赤らんだ顔をにやつかせていた。宴が開始して間もないのに、もうお酒が大分入っていそうだ。
「あなた、この方たちが話していた……」
「そうよ。元々ここで働いてたのが、ファルメルの街で魔導具やらを作り始めやがって、今じゃ大盛況。店を開いてがっぽがっぽ儲けてやがるってやつらさ。まったく羨ましいねぇ」
「こんなに若いのに、すごい技術をお持ちなのね、お嬢さんたち。尊敬するわ」
「きょ、恐縮です」
奥方様はミレイという名を名乗ると、私たちと握手してくれた。こんなことを言っては失礼にあたるだろうけど、ドンホリさんと同年代と思えないくらい若々しい淑女で、どのような経緯で知り合ったのか非常に気になる。
その途中に――。
「おー? おめぇらも来てたのか」
通りかかったひとりの男性が、後ろから私たちに声を掛けてきた。誰かと思えば、お城で働いている時にあれこれとお世話になった倉庫番の上級使用人、ドンホリさんではないか。
彼は後ろにひとりの上品な美人を連れ、赤らんだ顔をにやつかせていた。宴が開始して間もないのに、もうお酒が大分入っていそうだ。
「あなた、この方たちが話していた……」
「そうよ。元々ここで働いてたのが、ファルメルの街で魔導具やらを作り始めやがって、今じゃ大盛況。店を開いてがっぽがっぽ儲けてやがるってやつらさ。まったく羨ましいねぇ」
「こんなに若いのに、すごい技術をお持ちなのね、お嬢さんたち。尊敬するわ」
「きょ、恐縮です」
奥方様はミレイという名を名乗ると、私たちと握手してくれた。こんなことを言っては失礼にあたるだろうけど、ドンホリさんと同年代と思えないくらい若々しい淑女で、どのような経緯で知り合ったのか非常に気になる。