魔導具店『辺境伯の御用達』 ーThe margrave's purveyorー(ザ・マーグレーヴス・パーベヤー)
ノルシェーリア王国はそれなりの国土を持つ大国ではあるが、同時にそれは地続きとなる国の数が多いことも示している。そうなれば、当国が戦に苦戦した時、隙を狙うようにいくつもの国々が連鎖的に攻撃を仕掛けてくることなども考えられる。そのために国は外交努力を絶やさず、近隣諸国と同盟関係を結ぶように努力してはいるが、いつでもそれが正しく守られるとは限らない。
突然の裏切りでそれが無に帰し国家存亡の危機に陥らないようにするためにも……国の外縁部に住まう者たちは、周辺諸国の動静に常に神経を尖らせ、有事の際にはしっかりと力を見せつけて勝利せねばならない。そうした重責を担う場所のひとつが、ここハーメルシーズ領なのだ。
「現に半年前にも、この国は戦火に晒された。それほど大きなものではなかったにしろ、その恐怖は今も多くの民に傷を残しているはずだ。なのに彼らはこの領地を見捨てず、俺たちを信じ、こうして力を貸し続けてくれる。そのことがどれほどありがたいことか……」
「誇るべき人たちです……。私も、本当にそう思います」
ここへ来て、素晴らしい日々を過ごした私にも、戦争の暗い影がまったく見えていなかったわけではない。
家族を亡くし、それを悼んでいる人も中には居た。けれどそういった人たちも周りに支えられ、また立ち上がって新しい未来への道を歩もうとしている。
突然の裏切りでそれが無に帰し国家存亡の危機に陥らないようにするためにも……国の外縁部に住まう者たちは、周辺諸国の動静に常に神経を尖らせ、有事の際にはしっかりと力を見せつけて勝利せねばならない。そうした重責を担う場所のひとつが、ここハーメルシーズ領なのだ。
「現に半年前にも、この国は戦火に晒された。それほど大きなものではなかったにしろ、その恐怖は今も多くの民に傷を残しているはずだ。なのに彼らはこの領地を見捨てず、俺たちを信じ、こうして力を貸し続けてくれる。そのことがどれほどありがたいことか……」
「誇るべき人たちです……。私も、本当にそう思います」
ここへ来て、素晴らしい日々を過ごした私にも、戦争の暗い影がまったく見えていなかったわけではない。
家族を亡くし、それを悼んでいる人も中には居た。けれどそういった人たちも周りに支えられ、また立ち上がって新しい未来への道を歩もうとしている。