魔導具店『辺境伯の御用達』 ーThe margrave's purveyorー(ザ・マーグレーヴス・パーベヤー)
聡明な父リエフと母グレイアに愛されながら、ディクリドはすくすくと育ち……その内にある人物と出会った。
「おう、お前がディクリドか。年の割に大きな体をしている。こりゃ将来は期待できそうだ」
父の弟であり、ディクリドの叔父に当たるイデル。彼は城の訓練場で木剣の素振りをしていたディクリドに近付くと、大きな手で頭を撫でてくれた。笑うと愛嬌はあるが、鋭い金の目にしっかりとした鼻筋。その顔付きに、ディクリドはなぜだかこう思った。
――似ている、自分と……と。
後々どうやらその人物は、自分の叔父であることが分かり、ディクリドは彼に興味を持った。父である領主は髪と目の色こそ同じだが、顔立ちは自分とあまり似ていない。それよりも、叔父であるイデルの方になんとなく親しみを感じ、ディクリドは彼が城を訪れる度その後ろに付いて回った。
しかしその内ひとつの事件が起こる。ディクリドが五歳ほどの時、侍女がたまたま目を離したすきに、彼は石段を踏み外し、頭を強くぶつけてしまう。
「お、お坊ちゃま! 大変、血が……。えっ、こ、この光は!? …………ひぃぃっ!」
「おう、お前がディクリドか。年の割に大きな体をしている。こりゃ将来は期待できそうだ」
父の弟であり、ディクリドの叔父に当たるイデル。彼は城の訓練場で木剣の素振りをしていたディクリドに近付くと、大きな手で頭を撫でてくれた。笑うと愛嬌はあるが、鋭い金の目にしっかりとした鼻筋。その顔付きに、ディクリドはなぜだかこう思った。
――似ている、自分と……と。
後々どうやらその人物は、自分の叔父であることが分かり、ディクリドは彼に興味を持った。父である領主は髪と目の色こそ同じだが、顔立ちは自分とあまり似ていない。それよりも、叔父であるイデルの方になんとなく親しみを感じ、ディクリドは彼が城を訪れる度その後ろに付いて回った。
しかしその内ひとつの事件が起こる。ディクリドが五歳ほどの時、侍女がたまたま目を離したすきに、彼は石段を踏み外し、頭を強くぶつけてしまう。
「お、お坊ちゃま! 大変、血が……。えっ、こ、この光は!? …………ひぃぃっ!」