魔導具店『辺境伯の御用達』 ーThe margrave's purveyorー(ザ・マーグレーヴス・パーベヤー)
しかしそれにルシルは両手を振り回して抗議した。
「うちがスカート履いたって大して女っぽくなりゃしないよ。綺麗どころがふたりもいるんだからいいじゃないさ~」
「お店には統一感ってものが大事なの! 口答えするんだったら追い出すからね! さっさと奥へ行く!」
「へぇ~い」
だが、リラフェンの剣幕にそれはあえなく撃沈し、情けない声を上げるルシルはリラフェンに蹴りつけられるようにして、店内に追いやられて行った。私はその姿に苦笑しつつ、店の前の郵便ポストを確認する。箱からはみ出している手紙の角が見えたためだ。
それを取り出して表裏をめくってみたが、封だけがされた特徴のないもので、送り主などは書かれていない。奇妙なことにそれは私に宛てられたもののようで……。
(誰からだろう……)
私に手紙を送ってくるような知り合いとなると、ハーメルシーズ城に住まう下働きの女の子たちか、ファルメルの街で新しくできた顔見知りくらいしか考えられないが……。
「サンジュ~、ちょっと来て! この魔導具さ、どこに置いておいたらいいの?」
「うちがスカート履いたって大して女っぽくなりゃしないよ。綺麗どころがふたりもいるんだからいいじゃないさ~」
「お店には統一感ってものが大事なの! 口答えするんだったら追い出すからね! さっさと奥へ行く!」
「へぇ~い」
だが、リラフェンの剣幕にそれはあえなく撃沈し、情けない声を上げるルシルはリラフェンに蹴りつけられるようにして、店内に追いやられて行った。私はその姿に苦笑しつつ、店の前の郵便ポストを確認する。箱からはみ出している手紙の角が見えたためだ。
それを取り出して表裏をめくってみたが、封だけがされた特徴のないもので、送り主などは書かれていない。奇妙なことにそれは私に宛てられたもののようで……。
(誰からだろう……)
私に手紙を送ってくるような知り合いとなると、ハーメルシーズ城に住まう下働きの女の子たちか、ファルメルの街で新しくできた顔見知りくらいしか考えられないが……。
「サンジュ~、ちょっと来て! この魔導具さ、どこに置いておいたらいいの?」