魔導具店『辺境伯の御用達』 ーThe margrave's purveyorー(ザ・マーグレーヴス・パーベヤー)
ふたりは、最近長年続けていた仮の兄妹関係を解消し、それ以降も新しい関係の構築に向けて努力しているようだ。お互いを家族ではなくひとりの人間として見るのが、まだフィトロには慣れないところも多いようだが、リラフェンの方が積極的に彼をリードしている。その光景は傍目から見ても応援したくなるもので、ふたりをここに連れて来たディクリドとしては、いずれ幸せになることを願わずにはいられない。
ふたりは、新しくサンジュが経営する魔導具店で売り始めた、ふたつ一対となる“映身のミラー”などというものを使い、勤務外で綿密に連絡を取り合っているようだ。しかし、こういった時間帯でその様子を見かけることはなく、ディクリドにはそれがなぜか気にかかった。
そして予感は端無くも当たってしまう。フィトロが外に出て数分も立たないうちに、血相を変えて部屋に戻ってきた。
「ディクリド様! ご報告したいことが……!」
「なんだ?」
生まれ持った穏やかさと冷静さでディクリドを補佐するフィトロの常にない焦りように、なにか大事が起きたことを感じ、ディクリドは耳を貸した。
そして次の言葉に彼は深い衝撃を受けた。
ふたりは、新しくサンジュが経営する魔導具店で売り始めた、ふたつ一対となる“映身のミラー”などというものを使い、勤務外で綿密に連絡を取り合っているようだ。しかし、こういった時間帯でその様子を見かけることはなく、ディクリドにはそれがなぜか気にかかった。
そして予感は端無くも当たってしまう。フィトロが外に出て数分も立たないうちに、血相を変えて部屋に戻ってきた。
「ディクリド様! ご報告したいことが……!」
「なんだ?」
生まれ持った穏やかさと冷静さでディクリドを補佐するフィトロの常にない焦りように、なにか大事が起きたことを感じ、ディクリドは耳を貸した。
そして次の言葉に彼は深い衝撃を受けた。