魔導具店『辺境伯の御用達』 ーThe margrave's purveyorー(ザ・マーグレーヴス・パーベヤー)
その言葉と共に、ザドが優しい手つきで私を突き放した。
「……どうして」
目の前で残酷な三日月を描いた口元が、滲んでぐちゃりと歪んだ。
涙が零れ、すべての望みを打ち砕かれた私の身体がベッドの上にとさりと転がる。
「は、ははは、あはっ。その顔だよ、その顔が見たかった。辺境のやつらはいい仕事をしてくれたよ。そのおかげでお前はこんなに綺麗になって、こんなにも心から絶望してくれているんだものなぁ……!」
「い、や……ディクリド様」
四つん這いで私を押さえつけたザドの手が、肌に直接触れ、反射的に私は顔を背ける。あの人以外にはそんなことをされたくないのに……いくら拒んでもきっと私はこの男の手の中から抜け出せない。
「その反応、好きな男でもできたか? くくく……それはよかった」
ザドは羽交い絞めにしていた手を緩めると、悲しみに嗚咽する私から身体を離し、傲然と言い放った。
「お前をいただくのは、すべてを終えた後にしてやる。せいぜいそれまでに、幸せだった一時を思い返しておけよ。まったく、よくできた悲劇じゃないか……なぁ! ははははははは……!」
「……どうして」
目の前で残酷な三日月を描いた口元が、滲んでぐちゃりと歪んだ。
涙が零れ、すべての望みを打ち砕かれた私の身体がベッドの上にとさりと転がる。
「は、ははは、あはっ。その顔だよ、その顔が見たかった。辺境のやつらはいい仕事をしてくれたよ。そのおかげでお前はこんなに綺麗になって、こんなにも心から絶望してくれているんだものなぁ……!」
「い、や……ディクリド様」
四つん這いで私を押さえつけたザドの手が、肌に直接触れ、反射的に私は顔を背ける。あの人以外にはそんなことをされたくないのに……いくら拒んでもきっと私はこの男の手の中から抜け出せない。
「その反応、好きな男でもできたか? くくく……それはよかった」
ザドは羽交い絞めにしていた手を緩めると、悲しみに嗚咽する私から身体を離し、傲然と言い放った。
「お前をいただくのは、すべてを終えた後にしてやる。せいぜいそれまでに、幸せだった一時を思い返しておけよ。まったく、よくできた悲劇じゃないか……なぁ! ははははははは……!」