魔導具店『辺境伯の御用達』 ーThe margrave's purveyorー(ザ・マーグレーヴス・パーベヤー)
「ハッ。ここに居るウドニス氏は、約六年前に被告ととある契約を交わしました。それは、魔導具師としての教育とその生活を全面的に支援する代わりに、被告がその技術を私的に利用し、金銭などによる対価を授受した場合、そのすべての利益の権限はファークラーテン家に帰属することとなるというものです」
こうして人を雇うのも、自身で説明をするよりもこうして法的知識を持つ他者に第三者的に語ってもらった方が、信憑性が増すからだろうか。ちなみに私の方にはもちろんそのような協力者はいない。
「これは一見厳しい条件に見えますが、彼女が婚姻し他家に嫁いだ場合、または信用に足ると原告が認めた機関に所属した場合のみ、契約を破棄するとの条文も含まれており……原告側が被告を拘束する意図はなかったとご理解いただけるかと思います」
なにも知らない私の前で、次々と彼らの手札がめくられてゆく。
確かに、魔導具師としての教育を受け、衣食住に心配のない環境で育てられたのは事実だ。だがそれ以外が見えていない他者からは、私が休む日もなく働かされたことや、ことあるごとに苦しい責めを負ったことなど気づいてはくれないだろう。
こうして人を雇うのも、自身で説明をするよりもこうして法的知識を持つ他者に第三者的に語ってもらった方が、信憑性が増すからだろうか。ちなみに私の方にはもちろんそのような協力者はいない。
「これは一見厳しい条件に見えますが、彼女が婚姻し他家に嫁いだ場合、または信用に足ると原告が認めた機関に所属した場合のみ、契約を破棄するとの条文も含まれており……原告側が被告を拘束する意図はなかったとご理解いただけるかと思います」
なにも知らない私の前で、次々と彼らの手札がめくられてゆく。
確かに、魔導具師としての教育を受け、衣食住に心配のない環境で育てられたのは事実だ。だがそれ以外が見えていない他者からは、私が休む日もなく働かされたことや、ことあるごとに苦しい責めを負ったことなど気づいてはくれないだろう。