魔導具店『辺境伯の御用達』 ーThe margrave's purveyorー(ザ・マーグレーヴス・パーベヤー)
体を押さえながら、深く腰を折った私の隣で、父の声が響いた。
「その娘は嘘をついている。そのような傷がどこで作られたかなど我々は知らん! 関知もしていない!」
「お、落ち着いてください、ウドニス氏」
裁判官の心証を悪くしないようにと、代理人が彼を押しとどめたが、次いで次男のザドもやや苦みを感じさせる口調で告げた。
「そうです。妹は約半年ほどの間もこの地を留守にしていた。その間に偽装した傷をそれらしく利用して同情心を煽り、我々の判断を惑わそうとしているのです! どうか裁判長、冷静なご判断を」
「ううむ……」
傍聴席の様子がまっぷたつに割れ、裁判長も迷いも見せた。
「双方の主張はわかった。これより審議に移ろう」
大きく号令が発されたものの、このようなことは珍しいのか、裁判長の後ろの裁判官たちも、互いに顔を向けあい、激しい議論を始める。
「その娘は嘘をついている。そのような傷がどこで作られたかなど我々は知らん! 関知もしていない!」
「お、落ち着いてください、ウドニス氏」
裁判官の心証を悪くしないようにと、代理人が彼を押しとどめたが、次いで次男のザドもやや苦みを感じさせる口調で告げた。
「そうです。妹は約半年ほどの間もこの地を留守にしていた。その間に偽装した傷をそれらしく利用して同情心を煽り、我々の判断を惑わそうとしているのです! どうか裁判長、冷静なご判断を」
「ううむ……」
傍聴席の様子がまっぷたつに割れ、裁判長も迷いも見せた。
「双方の主張はわかった。これより審議に移ろう」
大きく号令が発されたものの、このようなことは珍しいのか、裁判長の後ろの裁判官たちも、互いに顔を向けあい、激しい議論を始める。