魔導具店『辺境伯の御用達』 ーThe margrave's purveyorー(ザ・マーグレーヴス・パーベヤー)
しかし――それを切り裂くように一度鋭い打撃音が響き、父の表情が固まった。場が鎮まると、厳かに裁判長は追加の説明を加えた。
「確かに、被告が契約を遵守せず、法を逸脱した行為により罪を重ねたことは処罰が必要である。ただし! 被告がなんらかの暴力を受け、心身の健康を多大に損なっていたこともまた、事実として認めざるを得ない。その件を考慮し……よって被告の当該財産の没収は二割に留め、居住していた店舗の権利も協力者に譲ることとする!」
再び、会場が揺れた。
「あ…………! ありがとうございます……!」
すべてが奪われることはなかった……!
その感動に顔を上げた私の口から安堵の息が漏れ、同時に父の口から吐き出されたのは烈火のごとき怒りだ。
「な、な、なんだとおっ! ふ、ふざけるなっ……情に惑わされおったのか!? そのような偏った裁定を受け入れられるものかっ!」
「ウドニス殿、落ち着いて!」
代理人が歯を向いて興奮した父を押し止め、ザドも顔を顰めながらも耳打ちする。
「確かに、被告が契約を遵守せず、法を逸脱した行為により罪を重ねたことは処罰が必要である。ただし! 被告がなんらかの暴力を受け、心身の健康を多大に損なっていたこともまた、事実として認めざるを得ない。その件を考慮し……よって被告の当該財産の没収は二割に留め、居住していた店舗の権利も協力者に譲ることとする!」
再び、会場が揺れた。
「あ…………! ありがとうございます……!」
すべてが奪われることはなかった……!
その感動に顔を上げた私の口から安堵の息が漏れ、同時に父の口から吐き出されたのは烈火のごとき怒りだ。
「な、な、なんだとおっ! ふ、ふざけるなっ……情に惑わされおったのか!? そのような偏った裁定を受け入れられるものかっ!」
「ウドニス殿、落ち着いて!」
代理人が歯を向いて興奮した父を押し止め、ザドも顔を顰めながらも耳打ちする。