魔導具店『辺境伯の御用達』 ーThe margrave's purveyorー(ザ・マーグレーヴス・パーベヤー)
「では、これにて当裁判は、閉廷することとする。原告と被告には、追って裁判所から正式な通達が送られるので、それを待たれよ。では列席した面々は速やかに退室を――」
「お待ちいただこう」
だが……そこで勢いよく法廷への扉が開いた。
誰もがなにが起こったかもわからず、目を見張る。視線は自然と法廷の入口へと集まってゆく。
そこで私が受けた衝撃は、言葉では言い表せない。
そこに居る誰よりもいっそう深く、大きく、そして――その場を飛び出したくなる衝動が胸に込み上げてくる。
なにせ、そこにぐっと胸を反らして立ち、安心させる様に私のもとへ、なによりも頼もしい黄金の眼差しを届けてくれていたのは……。
この場に足を運ぶことなど考えられなかった人物であり、広大なハーメルシーズ領を統治する辺境伯。
ディクリド・ハーメルシーズ――その人であったのだから……。
「お待ちいただこう」
だが……そこで勢いよく法廷への扉が開いた。
誰もがなにが起こったかもわからず、目を見張る。視線は自然と法廷の入口へと集まってゆく。
そこで私が受けた衝撃は、言葉では言い表せない。
そこに居る誰よりもいっそう深く、大きく、そして――その場を飛び出したくなる衝動が胸に込み上げてくる。
なにせ、そこにぐっと胸を反らして立ち、安心させる様に私のもとへ、なによりも頼もしい黄金の眼差しを届けてくれていたのは……。
この場に足を運ぶことなど考えられなかった人物であり、広大なハーメルシーズ領を統治する辺境伯。
ディクリド・ハーメルシーズ――その人であったのだから……。