魔導具店『辺境伯の御用達』 ーThe margrave's purveyorー(ザ・マーグレーヴス・パーベヤー)
だが、後ろからひょっこりと現れた老人がそれを止めさせた。
「まあ、待ちなされ。この者も立派な関係者じゃと、儂が保証しよう」
「ぬ……!? あ、あなた様は……」
裁判長が声を失い、どうしてか、原告席で事態を見守っていた父までが、声を擦れさせる。
「な、なぜ……!? グ、グローバス侯爵ではないか! なぜあの方ががここにっ!」
(え……?)
その名前に聞き覚えがあった私でなく、傍聴人の多くが彼の出現に気を取られるが、それよりも次々と意外な方へ転がる事態の方に急速に意識が引き寄せられてゆく。
「グ、グローバス侯、しかし……あなた様ほどの力を有す貴族といえど、入廷を許すわけにはまいりませぬ。法は何人からの権力も受けず、真実のみを明らかにすることを目的にせねばならない。ここであなた様の入廷を認めてしまえば……」
「そうではない。真実を明らかにすることを至上の目的とするならば、この者の話を無視することはできぬじゃろう。ソエル坊よ、話してやりなさい」
「「―――――!?」」
原告である父たちと、被告である私の両方に驚愕が走る。
「まあ、待ちなされ。この者も立派な関係者じゃと、儂が保証しよう」
「ぬ……!? あ、あなた様は……」
裁判長が声を失い、どうしてか、原告席で事態を見守っていた父までが、声を擦れさせる。
「な、なぜ……!? グ、グローバス侯爵ではないか! なぜあの方ががここにっ!」
(え……?)
その名前に聞き覚えがあった私でなく、傍聴人の多くが彼の出現に気を取られるが、それよりも次々と意外な方へ転がる事態の方に急速に意識が引き寄せられてゆく。
「グ、グローバス侯、しかし……あなた様ほどの力を有す貴族といえど、入廷を許すわけにはまいりませぬ。法は何人からの権力も受けず、真実のみを明らかにすることを目的にせねばならない。ここであなた様の入廷を認めてしまえば……」
「そうではない。真実を明らかにすることを至上の目的とするならば、この者の話を無視することはできぬじゃろう。ソエル坊よ、話してやりなさい」
「「―――――!?」」
原告である父たちと、被告である私の両方に驚愕が走る。