魔導具店『辺境伯の御用達』 ーThe margrave's purveyorー(ザ・マーグレーヴス・パーベヤー)
ディクリド様は原告席に目をやる。そこでは……。
「ふざけるな、ふざけるなよっ! 魔導具局に話を通せ! 儂という人物がいかに王国にとって貢献してきたかを、説明してくれるはずだ! このような判断、認めんぞぉっ!」
「あんな小娘ごときがなんだというのよ! 貴族家で子供の将来が親によって決められることなど普通のことじゃない! こんな特別扱い……ここにいる人間たちはどうかしてるわ! ええい、離しなさい汚らわしい!」
喚きたてた父母が、たった今警備兵に拘束され、引っ立てられて行った。そして残るふたりの人物は、互いに敵意を持って視線を交わす。
「兄上、いやソエル……あんたはもっと賢いやつだと思っていたぜ。気でも触れて美談の主にでもなろうと思ったのか? それともまさか……サンジュを助け、気持ちを自分の方へ向けさせようとでも? くくく……その為に何年もかけてよくもまぁ。気色悪いぜ、あんた」
そんな弟の蔑みに、ソエルは冷然とした態度で応じる。
「お前の物差しで判断するな。私は国の貴族として……いや、ひとりの人間として恥ずべき己を正そうとしただけだ。正直、吐き気がしていたよ、ひとりではなにもできない自分にも、淀んだ空気の籠ったあの家にもな。それにザド、気づいていないのか? お前こそサンジュにずいぶん執着していたようだが? ふ……女を貶めることでしか自らの想いを表せないとは……。まったく、恥ずかしい男だと自覚しろ」
「てめぇッ!」
「ふざけるな、ふざけるなよっ! 魔導具局に話を通せ! 儂という人物がいかに王国にとって貢献してきたかを、説明してくれるはずだ! このような判断、認めんぞぉっ!」
「あんな小娘ごときがなんだというのよ! 貴族家で子供の将来が親によって決められることなど普通のことじゃない! こんな特別扱い……ここにいる人間たちはどうかしてるわ! ええい、離しなさい汚らわしい!」
喚きたてた父母が、たった今警備兵に拘束され、引っ立てられて行った。そして残るふたりの人物は、互いに敵意を持って視線を交わす。
「兄上、いやソエル……あんたはもっと賢いやつだと思っていたぜ。気でも触れて美談の主にでもなろうと思ったのか? それともまさか……サンジュを助け、気持ちを自分の方へ向けさせようとでも? くくく……その為に何年もかけてよくもまぁ。気色悪いぜ、あんた」
そんな弟の蔑みに、ソエルは冷然とした態度で応じる。
「お前の物差しで判断するな。私は国の貴族として……いや、ひとりの人間として恥ずべき己を正そうとしただけだ。正直、吐き気がしていたよ、ひとりではなにもできない自分にも、淀んだ空気の籠ったあの家にもな。それにザド、気づいていないのか? お前こそサンジュにずいぶん執着していたようだが? ふ……女を貶めることでしか自らの想いを表せないとは……。まったく、恥ずかしい男だと自覚しろ」
「てめぇッ!」