魔導具店『辺境伯の御用達』 ーThe margrave's purveyorー(ザ・マーグレーヴス・パーベヤー)
「必ずお帰りになると信じています。そうしたら……また、力一杯抱き締めて下さい」
「……約束する」
心配は尽きないけれど、彼はいつだって私を悲しませたりしたことはない。だから、この約束も必ず守ってくれるはずだ。
私はこの時のために肌身離さず身に着けていた、ペンダントを首から外す。
「どうぞ」
「これは……?」
「私が作った魔導具です。お守りにお持ちください」
彼の手に渡したのは、天使の片羽根を模して作った銀のペンダント。それは、私の部屋に残したものと一対となっており、中心にはそれぞれ、同じ魔石から削りだした兄弟石が据えられている。どれだけは距離を離そうと、光の筋を浮かべて羅針盤のように互いの方角を示すのだ。そう説明すると、彼は恭しくそれを受け取り、首に巻いた。
「ありがとう。これでなにがあろうと、この場所に戻ってこれるな」
私たちは、目を瞑ればお互いの顔を思い出せるよう、その場でじっと見つめ合う。
その時、軽やかな呼び鈴の音がして、フィトロさんが戸口から姿を現した。
「……約束する」
心配は尽きないけれど、彼はいつだって私を悲しませたりしたことはない。だから、この約束も必ず守ってくれるはずだ。
私はこの時のために肌身離さず身に着けていた、ペンダントを首から外す。
「どうぞ」
「これは……?」
「私が作った魔導具です。お守りにお持ちください」
彼の手に渡したのは、天使の片羽根を模して作った銀のペンダント。それは、私の部屋に残したものと一対となっており、中心にはそれぞれ、同じ魔石から削りだした兄弟石が据えられている。どれだけは距離を離そうと、光の筋を浮かべて羅針盤のように互いの方角を示すのだ。そう説明すると、彼は恭しくそれを受け取り、首に巻いた。
「ありがとう。これでなにがあろうと、この場所に戻ってこれるな」
私たちは、目を瞑ればお互いの顔を思い出せるよう、その場でじっと見つめ合う。
その時、軽やかな呼び鈴の音がして、フィトロさんが戸口から姿を現した。