魔導具店『辺境伯の御用達』 ーThe margrave's purveyorー(ザ・マーグレーヴス・パーベヤー)
だが……首を振って拒絶する私を、彼はしっかりと諭してくる。
「自ら死を望もうとするほど追い詰められている者を、俺は見放したりはしない。必ずその元凶となったやつらをお前から遠ざけ、守ると誓ってやる。だから、話せ。何に苦しみ、本当は何を願いたかったのかを」
ひたすらに力強くこちらを見据え、その男性は言い切ってくれた。そのことが、私の心を縛りつけていた疑いの鎖を見事に断ち切った。
「あ……う……、わ、ぁぁぁぁぁ――――っ!!」
両目から堰を切ったように、涙が頬を伝い出し、私は泣いた。名前も知らない目の前の男性に身体を預け、滅茶苦茶に喚き、叫ぶ。
そんな子供のような私の背中を包むように男性は優しく支えると、もう大丈夫だと繰り返し囁いてくれる。
悲しみや痛苦を紛らわすためのような冷えたものではなく、どこか、凝り固まっていた心を解すような温かい雫が指先を濡らし、……私はこんな心地よい涙があるんだということを、ここで、初めて知った。
「自ら死を望もうとするほど追い詰められている者を、俺は見放したりはしない。必ずその元凶となったやつらをお前から遠ざけ、守ると誓ってやる。だから、話せ。何に苦しみ、本当は何を願いたかったのかを」
ひたすらに力強くこちらを見据え、その男性は言い切ってくれた。そのことが、私の心を縛りつけていた疑いの鎖を見事に断ち切った。
「あ……う……、わ、ぁぁぁぁぁ――――っ!!」
両目から堰を切ったように、涙が頬を伝い出し、私は泣いた。名前も知らない目の前の男性に身体を預け、滅茶苦茶に喚き、叫ぶ。
そんな子供のような私の背中を包むように男性は優しく支えると、もう大丈夫だと繰り返し囁いてくれる。
悲しみや痛苦を紛らわすためのような冷えたものではなく、どこか、凝り固まっていた心を解すような温かい雫が指先を濡らし、……私はこんな心地よい涙があるんだということを、ここで、初めて知った。