魔導具店『辺境伯の御用達』 ーThe margrave's purveyorー(ザ・マーグレーヴス・パーベヤー)
敵の数がこれ以上揃う前に、決定的な打撃を与えておきたいところではあるが、現段階で一斉攻撃を掛けて敵軍を退けられる見込みはやや薄い。なるべくなら、今しばらく敵との戦力差を縮めた上で決戦へともつれ込みたいと、主だったノルシェーリア側の指揮官たちが我慢の戦いを強いられているところだった……。
「ご報告します!」
ひとりの兵が城壁の上で戦況を見守っていた指揮官たちに向け、声を張り上げた。
「尖塔の監視兵から連絡があり、国境線の奥に敵軍後続の援軍が発する砂塵を確認したらしく、至急判断を求むとのことです。もうあと半日もすれば、本体と合流すると予測されます!」
「ついに来たか……」
衛士団の総指揮官を務めているディクリドは空を仰いだ。思ってみれば、開戦直後数日のぶつかり合いが一番激しく、それ以降敵軍はある程度流すような戦い方をしていた。おそらく早い内にこちらの戦力を読み、確実な勝利を期すために後方から部隊を呼び寄せていたのだろう。
一方で彼も、ノルシェーリア王国に援軍の要請を行ってはいる。しかし、今まで多くの侵略を退けてきた実績が待ったをかけたか、未だ王国側からは援軍を送るという早馬すら着いていない。敵援軍の合流前に間に合うことはないだろう。
「ご報告します!」
ひとりの兵が城壁の上で戦況を見守っていた指揮官たちに向け、声を張り上げた。
「尖塔の監視兵から連絡があり、国境線の奥に敵軍後続の援軍が発する砂塵を確認したらしく、至急判断を求むとのことです。もうあと半日もすれば、本体と合流すると予測されます!」
「ついに来たか……」
衛士団の総指揮官を務めているディクリドは空を仰いだ。思ってみれば、開戦直後数日のぶつかり合いが一番激しく、それ以降敵軍はある程度流すような戦い方をしていた。おそらく早い内にこちらの戦力を読み、確実な勝利を期すために後方から部隊を呼び寄せていたのだろう。
一方で彼も、ノルシェーリア王国に援軍の要請を行ってはいる。しかし、今まで多くの侵略を退けてきた実績が待ったをかけたか、未だ王国側からは援軍を送るという早馬すら着いていない。敵援軍の合流前に間に合うことはないだろう。