魔導具店『辺境伯の御用達』 ーThe margrave's purveyorー(ザ・マーグレーヴス・パーベヤー)
 その爆発は地面に転がった魔導具たちをどんどん巻き込んで、連鎖してゆく。

「うお……! ぐ、があああああぁぁっ!」

 一発一発の規模がさしたるものでは無くても、数十発以上の魔導具の破裂に巻き込まれれば只では済まない。ザドの身体は後方へと吹き飛ばされて店の壁に叩きつけられ、それを突き破る。

「わぁっ――! ぁ……っ、ぅ」 

 同時に私もその煽りを受け、地面に倒れ込んでいくらかの傷を負う。しかし、聞こえづらくなった耳を押さえながらもなんとか立ち上がり、この事態に決着を着けようと、その場から踏み出した。

 もう油断はしない。私は武器になりそうな魔導具をひとつ摑み、ぼろぼろの姿で呻くザドに慎重に近付くと、それを突き付けた。
 風裂のサイスの尖った先は、後少し力を入れて振り下ろせば、彼の喉を貫くだろう。

「ぐ……は。……なに、が」
「あなたも、昔習ったはずでしょう。魔導具師としての基本ですよ。魔石は、強い衝撃や振動を与えると爆発することがある。さすがに、あんな小さな魔石では誰かの命を奪うだけの威力にはなりませんけど……」
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