魔導具店『辺境伯の御用達』 ーThe margrave's purveyorー(ザ・マーグレーヴス・パーベヤー)
 それらが一段落突くと、私は外に出て彼方を見つめる。
 広がるのはただ深い……なにもかもを吸い込んでしまいそうな深い“蒼”。

 首に垂らすペンダントのお互いを示す光の筋は、最近ずっと動いていない。
 でも、きっとこの先にはディクリド様に繋がっている。彼もまたどこかで、これを見ながら自分の戻るべき場所へ想いを馳せているかもしれない。

「必ず、帰って来てください……」

 傷付き、色々なものを失おうと……きっと彼は約束を守ってくれる、そういう人だ。
 だから今はただ信じて……私は再会の時を想うと、ペンダントを唇で触れた。
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