魔導具店『辺境伯の御用達』 ーThe margrave's purveyorー(ザ・マーグレーヴス・パーベヤー)
彼らは途中で負傷者を逃がすため、その場に踏みとどまっては追撃してくる敵を殲滅することを繰り返した。ディクリドは変身の魔術を維持できなくなるまで味方を庇って戦い続け、それに奮起した彼らの部隊は、数倍もの敵兵を血の海に沈めることとなった。部隊を敵陣の後方に引っ張っていったのは半分は余裕のなさだが、半分はそれで囮を引き受けてくれたフィトロたちの負担が少しでも減ればという計算の元からである。
そんな逃走劇の合間、ディクリドは部隊を小分けして、少しずつ切り離し夜闇に紛れさせ、戦線から離脱させていった。自らも敵兵の注目を集めるように行動し、追って来る敵兵の姿が無くなるまで戦い続け、残念ながら最後まで付き従ってくれた精鋭たちはすべて命を落としてしまった。
だがそのおかげで、多くの味方たちには追撃から逃れる機会が生まれたはずだ。うまくそれを生かし、家族の元に帰還できていることを願いたい。
敵の追走は何日も何日も執拗に続けられ、振り切った時にはひとりどこにいるかもわからないという状況だったが、生還を諦めずにひたすら国境線を目指す。
そんな逃走劇の合間、ディクリドは部隊を小分けして、少しずつ切り離し夜闇に紛れさせ、戦線から離脱させていった。自らも敵兵の注目を集めるように行動し、追って来る敵兵の姿が無くなるまで戦い続け、残念ながら最後まで付き従ってくれた精鋭たちはすべて命を落としてしまった。
だがそのおかげで、多くの味方たちには追撃から逃れる機会が生まれたはずだ。うまくそれを生かし、家族の元に帰還できていることを願いたい。
敵の追走は何日も何日も執拗に続けられ、振り切った時にはひとりどこにいるかもわからないという状況だったが、生還を諦めずにひたすら国境線を目指す。