魔導具店『辺境伯の御用達』 ーThe margrave's purveyorー(ザ・マーグレーヴス・パーベヤー)
「マルディール軍は、ハゼルハイド平原での決戦を最後に援軍を合流させず、各地に散っていた軍をも引きあげさせました。あなた様の活躍の後、ランツ子爵も獅子奮迅の活躍を示し、敵軍主力部隊の大半を蹴散らして、主が戻るまで一兵たりとも通さぬという気概を見せハゼルハイド砦を守ったようです。今も砦周辺で必死にディクリド様やお味方の捜索が行われております。すぐに報告を送り、あなたの生存を方々に知らしめましょう!!」
「そうか……! ……終わったか」
今の気持ちをどう言葉に表せばいいのか……ディクリドは目を瞑り、体の力を抜いた。
戦に出る前の心の臓まで凍てつきそうな心地や、骨の髄まで炙られるような戦場の熱気、そして思うほど永く感じられた逃走の数日間が代わる代わる思い出され、瞼から滲み出るものがあった。しかしそれを彼は、目頭を押さえて封じ込めると、シャルビュ号から降りて周りを見渡した。
「……皆、よく戦ってくれた。そして、本当によく生き残ってくれた! この領地を守り抜いたお前たちの存在を、俺は誇りに思う……! ありがとう!」
どうしても皆と同じ目線で生きている幸せを噛み締め、この国の未来を守り抜いたことを称え合いたい。ディクリドはそうして、兵士たちの中に溶け込み、ひとりひとりを労い感謝を伝えてゆく。
「そうか……! ……終わったか」
今の気持ちをどう言葉に表せばいいのか……ディクリドは目を瞑り、体の力を抜いた。
戦に出る前の心の臓まで凍てつきそうな心地や、骨の髄まで炙られるような戦場の熱気、そして思うほど永く感じられた逃走の数日間が代わる代わる思い出され、瞼から滲み出るものがあった。しかしそれを彼は、目頭を押さえて封じ込めると、シャルビュ号から降りて周りを見渡した。
「……皆、よく戦ってくれた。そして、本当によく生き残ってくれた! この領地を守り抜いたお前たちの存在を、俺は誇りに思う……! ありがとう!」
どうしても皆と同じ目線で生きている幸せを噛み締め、この国の未来を守り抜いたことを称え合いたい。ディクリドはそうして、兵士たちの中に溶け込み、ひとりひとりを労い感謝を伝えてゆく。