魔導具店『辺境伯の御用達』 ーThe margrave's purveyorー(ザ・マーグレーヴス・パーベヤー)
またも言い争いになりながら、ルシルは手際よく仕事を片付けると、私たちにぺこりと頭を下げた。本日も彼女は、鍛冶仕事との両立で忙しいのだ。
「そんじゃ、今日はここで失礼します。サンジュさんも、リラフェンがあんまり鬱陶しかったらうちにでも避難してくださいよ。寝床ぐらいは用意できますから。それじゃ、また!」
「あいつ~。そんなにあたし、甘ったるい話ばっかりしてるかしら?」
溌溂と去っていったその姿を見送り、リラフェンが苦虫を噛み潰したように尋ねたので、私は大きく首を振った。
「いいのよ。私からもお願いしたじゃない。遠慮しないでフィトロさんとのことを聞かせてって。その方が気持ちも明るくなるし」
「……そうよね! それじゃ今日も色々聞いてもらおうかな!」
リラフェンは女の子らしい可愛いステップで、機嫌よく二階への階段を駆け上がっていった。その後はふたりでリビングのキッチンに立ち、私は下ごしらえ、リラフェンがメインでいくつかの料理を作る。
料理は偉大だ。材料そのものをそのままいただくより、何倍も素材が美味しくなる。しかも創意工夫次第で、それらからは無限のバリエーションが生まれ、たくさんの人を幸せにできる。人類最高の発明品と言ってもきっと過言じゃない。
「そんじゃ、今日はここで失礼します。サンジュさんも、リラフェンがあんまり鬱陶しかったらうちにでも避難してくださいよ。寝床ぐらいは用意できますから。それじゃ、また!」
「あいつ~。そんなにあたし、甘ったるい話ばっかりしてるかしら?」
溌溂と去っていったその姿を見送り、リラフェンが苦虫を噛み潰したように尋ねたので、私は大きく首を振った。
「いいのよ。私からもお願いしたじゃない。遠慮しないでフィトロさんとのことを聞かせてって。その方が気持ちも明るくなるし」
「……そうよね! それじゃ今日も色々聞いてもらおうかな!」
リラフェンは女の子らしい可愛いステップで、機嫌よく二階への階段を駆け上がっていった。その後はふたりでリビングのキッチンに立ち、私は下ごしらえ、リラフェンがメインでいくつかの料理を作る。
料理は偉大だ。材料そのものをそのままいただくより、何倍も素材が美味しくなる。しかも創意工夫次第で、それらからは無限のバリエーションが生まれ、たくさんの人を幸せにできる。人類最高の発明品と言ってもきっと過言じゃない。