魔導具店『辺境伯の御用達』 ーThe margrave's purveyorー(ザ・マーグレーヴス・パーベヤー)
「あら、とても素敵な話」
痺れた口を必死に回して言った言葉に女が食い付いたように思え、ザドは安堵しかけた。だが……。
ひやりと喉元に金属の感触が触り、再びザドは声を上擦らせる。
「な、なぜ……」
「どうしてでしょうね。さて、あなたの記憶に聞いて見ましょうか」
女はザドの喉に刃をあてがいながら、歌うように告げた。
「こんなことが昔にありました……。私には母替わりの女性がいたのです。彼女は場末の酒場で給仕をするような貧しい生活をしていましたが、心も容姿も美しい女性で、捨てられた私を連れ帰って育ててくれた」
「は……? そんなこと、俺になんの関係が……いづっ!」
じくっと喉に痛みを感じ、ザドは呻く。女は刃先で彼を黙らせると、続きを語る。
痺れた口を必死に回して言った言葉に女が食い付いたように思え、ザドは安堵しかけた。だが……。
ひやりと喉元に金属の感触が触り、再びザドは声を上擦らせる。
「な、なぜ……」
「どうしてでしょうね。さて、あなたの記憶に聞いて見ましょうか」
女はザドの喉に刃をあてがいながら、歌うように告げた。
「こんなことが昔にありました……。私には母替わりの女性がいたのです。彼女は場末の酒場で給仕をするような貧しい生活をしていましたが、心も容姿も美しい女性で、捨てられた私を連れ帰って育ててくれた」
「は……? そんなこと、俺になんの関係が……いづっ!」
じくっと喉に痛みを感じ、ザドは呻く。女は刃先で彼を黙らせると、続きを語る。