魔導具店『辺境伯の御用達』 ーThe margrave's purveyorー(ザ・マーグレーヴス・パーベヤー)
「サン、ジュ……」
妹の名を口から呟くと、静かに目の光を失った……。
女性は、しばらくその胸に手を当て鼓動が止まったのを確認すると、安らいだように深く息を吐き……奥の部屋にある、血の付いた大きなふたつの袋を見て微笑んだ。
「お母さん……終わりましたよ。やっと――」
――そして以後、旧ファークラーテン家の家族たちを見た者はいない。
それから数年後。王都を流れる運河の端で、沈められた形跡のある、袋に入った三対の人骨が発見された。それは誰のものともわからず……発見した浮浪者により、人知れず王都の古い納骨堂へ打ち棄てられたという。
妹の名を口から呟くと、静かに目の光を失った……。
女性は、しばらくその胸に手を当て鼓動が止まったのを確認すると、安らいだように深く息を吐き……奥の部屋にある、血の付いた大きなふたつの袋を見て微笑んだ。
「お母さん……終わりましたよ。やっと――」
――そして以後、旧ファークラーテン家の家族たちを見た者はいない。
それから数年後。王都を流れる運河の端で、沈められた形跡のある、袋に入った三対の人骨が発見された。それは誰のものともわからず……発見した浮浪者により、人知れず王都の古い納骨堂へ打ち棄てられたという。