魔導具店『辺境伯の御用達』 ーThe margrave's purveyorー(ザ・マーグレーヴス・パーベヤー)
 発見は界隈で大きな話題となり、その功績をもって私は王国から正式にある資格をいただいた。
 魔導具関連教育責任者――それは国でもまだ取得者の少ない、新しい施設を開いて魔導具の知識を公的に教えることのできる資格で、運営費を国から補助してもらうこともできる。つまり、今までのような個人的なものじゃなく、魔導具師になりたい多くの人を招いて、教鞭を振るうことができるようになったのだ。

 それからディクリド様の力を借りて開校までの計画を練り、旧ファークラーテン家から受け取った賠償金を資金にして、ファルメルの街に学校を建てた。そうなると、私の力だけではとても運営できないので、事務的な方面をきっちりまとめてくれる人、王都の方から魔導具の知識のある人などを雇ったりして、どういう授業を行ってゆくのか擦り合わせ……準備期間を一年くらい設けた上で、やっと本校の開校に漕ぎつけることができたのだった。



 一段上がった舞台の袖から、私は希望に満ちた生徒たちの姿を眺める。

 今回募集した少年少女たちは、三年間の授業で知識と技術を身に着けた後、特に本人の希望がなければ、ある仕事を勧める予定になっている。実は、第一期生が卒業する前に、本校の近くの土地に、魔導具専用の生産工場が建つ見込みで、彼らにはそちらで働いてもらうつもりなのだ。
< 469 / 485 >

この作品をシェア

pagetop