魔導具店『辺境伯の御用達』 ーThe margrave's purveyorー（ザ・マーグレーヴス・パーベヤー）

「フィトロおじちゃん、リラフェンおばちゃん。ルックは、げんきげんきですよ！」

　そしてぴょんぴょんとジャンプしながら彼らの足元にぶつかった。リラフェンはくすくす笑いながら、私に視線を向けてにやついた。

「あはは、かわいい。いったいどっちに似たのかしらね、この人懐っこいのは」
「本当ね。でも子供ってそんなものじゃないかしら。レンシアちゃんも大人しいし」
「う～ん、でもね。小さい頃のリラフェンは結構人見知りをするところがあったんですよ。それもかわいかったですけどね」
「そうだった？　もっとお淑やかに育った方がよろしかったかしら？」
「まさか」

　ちょっと拗ねたリラフェンの機嫌を取ろうと、フィトロさんが頬にキスをする。夫婦仲睦まじいのは相変わらずのようでなにより。
　私たちが談笑する傍ら、フィトロさんの足の隙間にレンシアちゃんを見つけたルクレットは、元気に話しかける。

「レンシアおねえちゃんだ！　わ～い、あそんで！」
「むー……」