魔導具店『辺境伯の御用達』 ーThe margrave's purveyorー(ザ・マーグレーヴス・パーベヤー)
私はここでも、ファークラーテンの姓を隠し、名前だけを告げる。
「サンジュ……と言います。よろしくお願いします」
「なにか訳ありそうね。ハーメルシーズ伯の連れてきた人なのだから当然か……。まあでも、安心しなさい。伯のおっしゃった通り、あたしたちの仲間に悪いやつはいないわ。仕事だって、任されたからには一生懸命教えてあげるしね」
険しくしていた表情をやや緩め、私の背中をポンと叩くと、リラフェンと名乗った少女は会話が終わるのを待っていたふたりにきびきびとお辞儀をする。
「ではハーメルシーズ伯、お義兄様、私はこれで」
「リラ、サンジュさんのことをよろしく。無理はさせないようにね」
「サンジュがここの生活に困らぬよう、色々教えてやってくれ」
リラフェンという少女によほど信頼を置いているのか、フィトロさんもディクリド様も安心したように頷いている。下がる前に少女は、不安そうにする私の脇腹を肘で突いた。
「ほら、あんたもここに来たからには礼儀正しくする。ちゃんとお世話になるお礼を言わないと」
「あ……はい。ではディクリド様、フィトロさん……助けていただいてありがとうございました。今後はなるべくご迷惑を掛けないように過ごせればと思います」
「サンジュ……と言います。よろしくお願いします」
「なにか訳ありそうね。ハーメルシーズ伯の連れてきた人なのだから当然か……。まあでも、安心しなさい。伯のおっしゃった通り、あたしたちの仲間に悪いやつはいないわ。仕事だって、任されたからには一生懸命教えてあげるしね」
険しくしていた表情をやや緩め、私の背中をポンと叩くと、リラフェンと名乗った少女は会話が終わるのを待っていたふたりにきびきびとお辞儀をする。
「ではハーメルシーズ伯、お義兄様、私はこれで」
「リラ、サンジュさんのことをよろしく。無理はさせないようにね」
「サンジュがここの生活に困らぬよう、色々教えてやってくれ」
リラフェンという少女によほど信頼を置いているのか、フィトロさんもディクリド様も安心したように頷いている。下がる前に少女は、不安そうにする私の脇腹を肘で突いた。
「ほら、あんたもここに来たからには礼儀正しくする。ちゃんとお世話になるお礼を言わないと」
「あ……はい。ではディクリド様、フィトロさん……助けていただいてありがとうございました。今後はなるべくご迷惑を掛けないように過ごせればと思います」