魔導具店『辺境伯の御用達』 ーThe margrave's purveyorー(ザ・マーグレーヴス・パーベヤー)
 でも、このままのことが続けばいずれ彼女たちの意識も変わり、私を責めるようになる。それを想像すると……最初から冷たい態度を取られていたあの頃より、ずっと辛いことのように感じた。

 ベッドの上で膝を抱えシーツを握りしめながら、私はどうにもなりそうにないことを、どうしたらいいのかと延々と悩み続ける。そのせいで、ノックの音にも気付かなかったらしい。

「開けるわよ! ……なんだ、起きてんじゃない」
「リラフェンさん……」
「朝食も食べに来ないでなにしてるのかと思ったら……ひどい顔。はぁ……ちょっとこっち来て」

 ぽかんとした表情をする私を見るなり、リラフェン嬢はベッドから引き起こし、手を引いてそのまま自分の部屋へと連れて行った。そういえば、今日は彼女もお休みらしく、なにか用事があると言っていたような……。

「あんた、自分の服も持ってないんでしょ? お義兄様からあなたの身の周りに使うお金を頂いたから、今日は街に出掛けるわよ」

 彼女はああでもないこうでもないと、私の身体に手持ちの服を合わせ始める。背格好がそう変わらないから、十分に私でも着れそうだ。
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