魔導具店『辺境伯の御用達』 ーThe margrave's purveyorー(ザ・マーグレーヴス・パーベヤー)
「あ、あの……そう言えばここには魔導具がないのですね?」
「ん、そうだな。魔導具などは作り出されてまだ日が浅く、辺境には広まっていないせいもあるが……。あまり俺自身が魔術が好きではないのもあってな。この土地での生活に積極的に取り入れようとはしていないが……」
その質問に面食らった表情をしたディクリド様が、こちらを見つめる。私は愛想笑いを浮かべ、そのまま世間話を続けようとしたのだが、沈んだ気持ちが表に出るのは隠せなかったようで……。
「そんなことよりどうした。元気がないが、こちらでの暮らしはうまくいっていないのか?」
金色の瞳をしっかりと合わせ、彼は私に問いただす。
大柄に黒衣のその風貌は、本来なら恐ろしく感じられるはずだったが、不思議と身に纏う空気感が柔らかいのは、彼の人徳のなせる業か。
「はい……あまり順調ではないんです。今日もリラフェンに色々と迷惑をかけてしまって」
最初に助けられたこともあってか、親の帰りを待つ子供のような心地になり、ほっとしてしまった私は素直な心情を吐き出してみる。しかし……。
「ん、そうだな。魔導具などは作り出されてまだ日が浅く、辺境には広まっていないせいもあるが……。あまり俺自身が魔術が好きではないのもあってな。この土地での生活に積極的に取り入れようとはしていないが……」
その質問に面食らった表情をしたディクリド様が、こちらを見つめる。私は愛想笑いを浮かべ、そのまま世間話を続けようとしたのだが、沈んだ気持ちが表に出るのは隠せなかったようで……。
「そんなことよりどうした。元気がないが、こちらでの暮らしはうまくいっていないのか?」
金色の瞳をしっかりと合わせ、彼は私に問いただす。
大柄に黒衣のその風貌は、本来なら恐ろしく感じられるはずだったが、不思議と身に纏う空気感が柔らかいのは、彼の人徳のなせる業か。
「はい……あまり順調ではないんです。今日もリラフェンに色々と迷惑をかけてしまって」
最初に助けられたこともあってか、親の帰りを待つ子供のような心地になり、ほっとしてしまった私は素直な心情を吐き出してみる。しかし……。