魔導具店『辺境伯の御用達』 ーThe margrave's purveyorー(ザ・マーグレーヴス・パーベヤー)
「あー、そのさん付けも敬語もいらないからさ。年も近いんだし普通に話して。あんたとあたしはこれから一緒の仕事をする対等な仲間。だから、気兼ねなく話すの。いいわね?」
「は、はい。ええと、リ……リラ、フェン?」
その心遣いに、私も一歩だけ踏み出そうと勇気を出し、言いづらそうに彼女の名前を口ずさんだ。すると――。
「やったじゃない。意外と簡単でしょ。なにかをできるようになるなんて」
リラフェンはニヤリと笑うと私の手を取って立ち上がらせ、その場から歩き出した。ジューススタンドにカップを返し、それからもまた私たちは木枯らし吹く街並みを巡り、色々な店に顔を出す。
すると、先ほどまではセピアがかってくすんでいた風景が、くっきりと鮮やかに私の目に映りだした。
なにが好きで、なにが嫌いか――それが私にはまだよくわからないけれど……。
でも……私をここに連れて来てくれたディクリド様たちや、仲間だと思ってくれるリラフェンのことがとても素敵な人であることは、もはや間違いない。
だから私はこの先、きっと、彼女たちのことを大好きになれると――強く、そう思った。
「は、はい。ええと、リ……リラ、フェン?」
その心遣いに、私も一歩だけ踏み出そうと勇気を出し、言いづらそうに彼女の名前を口ずさんだ。すると――。
「やったじゃない。意外と簡単でしょ。なにかをできるようになるなんて」
リラフェンはニヤリと笑うと私の手を取って立ち上がらせ、その場から歩き出した。ジューススタンドにカップを返し、それからもまた私たちは木枯らし吹く街並みを巡り、色々な店に顔を出す。
すると、先ほどまではセピアがかってくすんでいた風景が、くっきりと鮮やかに私の目に映りだした。
なにが好きで、なにが嫌いか――それが私にはまだよくわからないけれど……。
でも……私をここに連れて来てくれたディクリド様たちや、仲間だと思ってくれるリラフェンのことがとても素敵な人であることは、もはや間違いない。
だから私はこの先、きっと、彼女たちのことを大好きになれると――強く、そう思った。